修理・調律

私は2005年5月に、イタリーのMenghini社(Scandalli、Paolo Soprani、SEMブランドアコのメーカー)、ドイツのHarmona社(Weltmeisterブランドのメーカー)、イタリーのLanzinger社(Lanzingerブランドのメーカー)およびチェコのAkordeon Service社(Deliciaブランドのメーカー)にて修理、調律、メンテナンスの教育を受けてまいりました。 2005年8月には再度チェコのAkordeon Service社(Deliciaブランドのメーカー)にて修理及び調律の特別トレーニングコースを受けてまいりました。 2006年10月にはBugari Armando社およびBorsini社で修理と調律の特訓を5日間受けてきました。
また、まったく新しい取り組みとしてチェコのAkordeon Service社と提携して同社の高い技術力を利用したリードブロック完全オーバーホールサービスを開始しています。
このリードブロック完全オーバーホールサービスとは以下のサービスのことをさします:

1) お客様からアコーディオンをお預かりする。
2) akkordeon.jpにて分解し、検査の後、修理ないしオーバーホールが必要なリードブロックを取り出す。
3) これをチェコのAkordeon Service社に送り、プロの手で、丁寧にリードフレームをリードブロックからはずす。
4) リードブロックのワックスをきれいにそぎ取る。
5) リードフレームから古いバルブを取り去る。
6) リードフレームをベンジンなどの洗浄液でクリーニングし、乾燥させる。
7) あたらしいリードバルブを装着する。 接着剤の乾燥を待つ。
8) すべてのリードフレームを一つ一つ調律する。
9) 新しいバルブのついた調律済みのリードフレームをリードブロックにワックス止めする。
10) 最終チェックの後、梱包してakkordeon.jpへ返送する。
11) akkorden.jpにて受入検査後、当該アコーディオンへの組み付け、最終品質検査を行う。
12) 必要に応じて、akkordion.jpにて最終調律を行う。

納期は季節・状況により異なりますが、3−4週間程度ですが1−2ヶ月かかる場合もあります。 費用はアコーディオンの仕様・サイズ・モデルにより異なりますので、個別にお見積をいたしますが、一つの目安としては10万円前後とお考えください。 このシステムのメリットとしては、作業の内容が明確であること、本当のプロが高い技術力をもって修理・・調律に当たること、コストが明朗会計であることなどがあげられます。 Akordeon Service社の技術力の高さは現にDeliciaブランドのアコーディオンをみていただければお分かりいただけると思いますが、わかりやすいReferenceとしては永年Exceliorブランドのアコーディオンの下請けメーカーだったことからご理解いただけると思います。 現在皆様のご使用中のExcelsiorの多くが実はDeliciaで製造されていたことを知る人は少ないのですが、これは事実です。 これで、いかに信頼の置ける会社に整備・調律をしてもらうのかということがご理解いただけると存じます。
日本では残念ながら、信頼できるアコーディオン調律をできる技術者が非常に少ないといわれています。 近所の、あるいは、有名な楽器店でも自社に修理・調律できるところは稀で、場合によっては技術力において経験・信頼性に乏しいアルバイトに修理を依頼するような場合もあるやに聞き及んでいます。それでも結構高い修理代をとられたなんて話も、良く耳にします。  少なくとも実際に修理・調律できる人と直接面談できる機会はきわめて少ないのが現状です。 一部の専門家といわれるところに修理が集中していて、納期が長いというのも問題となっているようです。 日本ではユーザーの多いExcelsiorをはじめ、どのブランドのアコーディオンでもオーバーホール可能です。 是非ご相談ください。

アコマイスター制度: 上記のDelicia社との共同ワークによる完全オーバーホールとは別に、簡単な修理や調律を受け持つ技術サービス部門を現在構築中です。 これはakkordeon.jpによりアコーディオンの修理と調律に関する経験と知識、部品と情報の供給などのトレーニングを受けた技術者にアコマイスターというタイトルをあたえ、日本各地に配置し、お客様により近い場所でサービスを受けさせようという制度です。 アコーディオンの修理と調律に関するトレーニングは当方で行い、各地のアコマイスターはお互いの経験と知識を定期的に情報交換し、スキルアップを常時行うということにしています。 これまでは、どうしても個人の経験と感に頼ってきたアコの修理を組織的に、より専門的に、より明朗会計にしていこうという考えに基づいています。 アコマイスターは十分なパーツや工具、測定機器を保有し、繊細なアコを常にベストコンディションに保つことを要求されています。 ただ、昨今のアコビジネスそのもののビジネス規模ではアコのメンテナンスや調律だけで生活の糧を得ることは不可能です。 まして、地域により密着する形でサービス・サポートを行おうとすると莫大な費用が発生し、それをアコーディオンのビジネスだけでカバーすることは不可能です。 アコマイスターになる条件はまず、アコーディオンに対する深い愛情が無ければなりません。 次に、繊細で複雑、かつ千差万別の機構、デザイン、歴史的な技術変革への理解など、深い知識と技術が要求されます。 アコーディオンへの愛情だけではアコマイスターにはなれません。 さらにはパーツ、工具、測定機器など多額の投資が要求されます。 さらに、スキルアップのため、定期的に開催される技術講習会への参加も義務付けられます。 この定期的な技術講習会への参加ができない人はアコマイスターにはなれません。 さらにはアコマイスター同士の情報交換ネットワークに常時接続されていて、困ったときにはお互いに技術情報を交換することを義務付けられます。 技術の独り占めは許されません。 これまでのアコの技術者がほとんど後任者の育成に失敗して引退していることは非常に残念なことです。 これはアコーディオンがビジネスとして成り立つことを前提として自分の後継者を育てようと考えたものの、実際はアコーディオン販売やアコーディオン修理は苦労が多い割りに儲からない、生活が成り立たないという厳しい現実があったからにほかなりません。 アコマイスター制度はこの厳しい現実のなかで、いかにこのすばらしいアコーディオン文化を下支えするかという問題意識を常に持ち、志を同じくするものが出せる力を出し合って、アコ後進国であるわが国において、後世に継続可能な形でアコーディオンの修理・調律を行い、さらには情報提供、いいアコーディオンの斡旋までサービスを拡大していくのが当面の目標です。 現在、このアコマイスターになるための詳細条件を策案中で、近日中に具体的に発表したいと考えています。 具体的にはまず、千葉県、東京都、愛知県、奈良県あたりからスタートする予定です。 漸次メンバーを募り、選定し、教育し、このサービスのネットワークを広げてまいります。 全国のアコーディオンファンのかたがた、どこで修理・調律したらわからない、という不安はもうすぐ解決します。 それまではどうぞ当方にお声をかけてください。